順天堂大学医学部総合診療科学講座(内藤俊夫 教授、森 博威 准教授)は、国内初となるVirtual Reality (VR; 仮想現実)を活用したHIV(Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス))の告知に関する教育プログラムを作成しました。

現在、国内におけるHIV感染症の診察は、HIV拠点病院(https://hiv-hospital.jp/)の専任医師に集中しているため、地域医療(クリニックや一般病院)において「早期診断」や「慢性期の管理」を適切に行うことが困難な状況となっています。

HIV診療には地域に密着した医師(非専任医師)の参加が不可欠ですが、HIV感染症の知識が十分ではなく、それを学ぶための基盤データも整備されていませんでした。当講座ではVRを活用して、HIV患者の問診・身体診察のポイントから告知の方法までを学べる実践的な教育プログラムを作成し、医学生や海外の研修生を対象に教育を開始しています。

 

 

<プログラム内容(例)>

シミュレーターを用いて呼吸器症状と頭痛を訴えるHIV感染症と診断された患者に対するアプローチ方法を学びます。

・患者への初期対応を体験

・「悪いニュース(HIV陽性)」を伝える方法を学ぶ

・患者告知に関する悪い例、良い例を学ぶ

・医師側と患者側双方の立場を体験することで、実際の問診のこつや難しさを学ぶ

 

 

 

今後の展開

本教育プログラムを通して医学生、医師がHIVの診療のポイントを学び、将来多くの医療従事者がHIV診療に携わることを期待します。

 

本事業は令和5年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策政策研究事業)を受けて行っています。